南太平洋科學風土記
海野十三(佐野昌一)
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)海膽《うに》のやうなもの
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)愈※[#二の字点、1−2−22]
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)そろ/\起上り始めた。
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[#地から2字上げ]第一回
はしがき
題して南太平洋科學風土記といふが、實は私が報道班員として南太平洋に勤務してゐた時に見聞したあちらの事情を、科學の目を通じて思ひ出すままにくり擴げようといふのである。餘り戰鬪や作戰とは關係のない至極のんびりしたものになるかも知れないが、これは戰鬪報道記ではないのであるから、そのつもりでお讀み捨て願ひたい。
船醉ひ
私たちがいよいよ南方へ下ることとなつて内地の港を出發したのは寒い一月の初めであつた。そこで私たちは二萬數千トンもある大きな船に便乘した。この船はそのトン數から見ても分るやうに非常に大きな船である。丁度盥を海に浮
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