ているのではなく、文字または符号の覆面をつけている計算なのであって、みなさんたち学徒の名探偵は、その覆面を推理の力で叩き落して数字を剥がし出すのだ。
 この両方をひっくるめて、ここに「“虫喰い算”大会」を開いてあるが、会場の初めの方はやさしいが、だんだん後の方の会場となるとむずかしくなる。その代り「虫喰い算」の魅力はだんだんに強く加わり、最後の第三十会場までが残り少くなるのが惜しまれるようになるであろう。第一会場を合格すれば第一階選士と名乗る。が、第三十階選士となるには、とてもたいへんである。
 やさしい問題は中学校の一年生でも解ける。一等むずかしい問題でも、高校生なら解けるであろう。しかもこの「虫喰い算」の魅力は、大学教授をして鉛筆を嘗《な》めながら呻《うな》らせる魔力をも備えていて、実に神秘なところがある。
 本書にはわざと空白を用意してあるが、そこでは部分的計算や、やりかえしをするために、せいぜい鉛筆を運動せられて然るべし。
 本書には全部で百三十二箇の問題を集め得たが、これだけ集めるのにも、ずいぶん苦心し、且つ長い年月を要した。もっと多くの新しい問題を探し出したいと思うが、私が
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