される。電波長が判ればあとはラジオとして物理的に取り扱えるようになる。」
「フーン、そんなものかな。――それから、冥土に居るC子の姿が何故娑婆から見えるのだい。」
「それは無線遠視《テレヴィジョン》――つまり、『眼で見るラジオ』というのが完成して実用されるからだ。無線遠視《テレヴィジョン》は冥土に於いては夙《つと》に発達している。地獄の絵を見ると、お閻魔《えんま》さまの前に大きな鏡がある。赤鬼青鬼にひったてられて亡者《もうじゃ》がこの鏡の前に立つと、亡者|生前《せいぜん》の罪悪《ざいあく》が一遍の映画となって映り出す。この大魔鏡《だいまきょう》こそは航時機《タイムマシーン》を併用して居る無線遠視器である。」
「脅すぜAさん。じゃ矢張《やっぱ》りお閻魔さまの前に並んでいる『見る眼』や『嗅ぐ鼻』も、ラジオ的に理屈のあるものなのかい。」
「勿論さBさん。『嗅ぐ鼻』は無線方向探知器《ラジオ・デレクションファインダー》の発達したもの。『見る眼』は光電受信機《フォト・エレクトリック・レシーバー》の発達したるものなのサ。これ等も十年後には、君の前へ正体を明らかにするだろう。」
「じゃ、うっかり死ぬわ
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