ゅうじん》たちは、まい日させられるしごとにも出て行かず、朝からお酒《さけ》を飲んでよっぱらったり、あっちこっちのすみでは、ひっきりなしに、言いあいやけんかが始まっていたのです。なんだか、があがあいやな歌《うた》をわめきたてたり、こっそり寝床《ねどこ》の板《いた》の下にかくしてカルタをしたり、何かとんでもないらんぼうなことをして、なかまの囚人《しゅうじん》たちにふくろだたきのめにあわされ、あげくのはて、すっかりまいってしまい、頭《あたま》からすっぽり毛皮《けがわ》のきものをかぶせられたまんま、板の寝床にのびている囚人がもう二三人もいるのです。こんなことが、このお祭《まつ》りの二日のあいだに、わたしをすっかりまいらせてしまったのです。いったいわたしは、まえから、人がよっぱらって大さわぎをするたびに、いつもいやでいやでたまらなかったのですが、牢屋《ろうや》の中では、なおさらやりきれないのでした。お祭りだというので、いつものように役人《やくにん》は牢屋の中を見まわりにもこないし、部屋《へや》の検査《けんさ》もされず、酒《さけ》を持ちこむのも、おおめに見られていたのです。
 とうとう、わたしは、
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