え。ならんでお坐《すわ》り、ほらね、こう。

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みなみな腰をおろす。
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ロパーヒン わが万年大学生先生は、いつもお嬢さんがたと一緒だね。
トロフィーモフ 君の知ったことじゃない。
ロパーヒン この人は、そろそろ五十になるというのに、相変らずまだ大学生だ。
トロフィーモフ 愚劣な冗談はいい加減にしたまえ。
ロパーヒン 何を怒るんだね、変ってるなあ?
トロフィーモフ ほっといてくれったら。
ロパーヒン (笑う)ところで一つ伺うけれど、君は僕《ぼく》のことを、なんと思ってるかね?
トロフィーモフ 僕はね、ロパーヒン君。こう思ってますよ――あんたは金持だ、おっつけ百万長者になるだろう。新陳代謝の意味では、猛獣が必要だ。なんでも手当り次第、食っちまうやつがね。君の存在理由も、要するにそれさ。

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一同わらう。
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ワーリャ ねえペーチャ、あんたは遊星《ほし》の話でもしたほうが似合うわ。
ラネーフスカヤ それよか、
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