輪が幾つも※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]りだし、やがて気が遠くなってしまいました。……
やがてわたしがそろそろ正気に返りはじめたのは、見たこともない場所で、広々と明るい小屋のなかでした。……おまけにそこには仔牛がいるのです……なん匹もなん匹も、十匹あまりもいるのです。――それがみんな可愛らしい仔牛でね、そばへ寄って来ては、ひやりとする唇で手をなめるんですよ。きっとお母さんのおっぱいでも吸う気でいるのでしょう。……実はわたしが目を覚ましたのも、くすぐったくなったからなのでした。……あたりをぐるりと見※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]しながら、おやどこかしらと思いました。見ていると、女の人が一人はいって来ました。脊の高い中婆さんで、縞のはいった空色の麻服にすっぽり身をくるみ、おなじく縞入りの麻のプラトークを頭にかぶって、親切そうな顔をしています。
女の人は、わたしが正気づいたのを見てとると、慰めの言葉をかけてくれたり、今わたしのいるのはやはり伯爵のお屋敷うちにある仔牛小屋だと、教えてくれたりしました。……『それはね、ほらあの辺にあったのですよ』と、リュボーフィ・オニ
前へ
次へ
全55ページ中38ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
神西 清 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング