しようと、歩きまわろうと、食べようと、玉を突こうと、それについてとやかく仰しゃれるのは、物のわかった人か目上のかただけですよ。
ワーリャ よくも言えたね、わたしにそんなことが! (カッとなって)言ったわね? つまりわたしが、わからずやだと言うんだね? とっとと出てくがいい! さあ今すぐ!
エピホードフ (怖気《おじけ》づいて)もう少々その、デリケートな言葉で、どうぞ。
ワーリャ (われを忘れて)さっさと出てけったら! さ、出てけ! (エピホードフがドアの方へ行くのを、彼女は追う)二十二の不仕合せめ! お前のにおいがプンとでもしたら承知しないよ! 二度とその顔を見せてもらうまい! (エピホードフ退場。ドアの向うで、「あなたのことを、言いつけますからね」という彼の声がする)おや、また返って来るんだね? (フィールスがドアのそばに立てかけておいた杖をつかむ)さあ来い……来るならおいで、目にもの見せてやるから。……来るんだね? え、来るんだね? よおし、こうしてやる……(杖をふりあげる、とたんにロパーヒン登場)
ロパーヒン これはどうも恐縮。
ワーリャ (怒りと嘲笑《ちょうしょう》をまぜて)失
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