げ]
アーニャとドゥニャーシャのほか、一同退場。
[#ここで字下げ終わり]

[#ここから改行天付き、折り返して1字下げ]
ドゥニャーシャ やっとお帰りになった、……(アーニャの外套と帽子をぬがせる)
アーニャ わたし途中四晩も眠れなかったの……今じゃもう、こごえあがっちまったわ。
ドゥニャーシャ あなたがたがお発《た》ちになったのは、大斎《たいさい》のころ([#ここから割り注]訳注 復活祭に先だつ七週間の精進期間で、年によって違うが、およそ二月初めから三月初旬までの間になる[#ここで割り注終わり])で、まだ雪がふって、ひどい凍《い》てつきようでしたが、今はまあどうでしょう? 可愛いお嬢さま! (笑って、アーニャにキスする)待ち遠しかったですわ、大好きな、可愛《かわい》いお嬢さま。……早速ですけど、あたしお話がありますの。一分間だって待てませんの……
アーニャ (だるそうに)また、なんの話……
ドゥニャーシャ 執事のエピホードフが、復活祭のあとで、あたしに結婚を申込みましたのよ。
アーニャ いつも、おんなし事ばかり……(髪を直しながら)わたし、ピンをみんな落してしまったわ。……(疲れき
前へ 次へ
全125ページ中9ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
チェーホフ アントン の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング