わ。尼寺へはいってしまうわ。
トロフィーモフ そいつはすばらしい!
ワーリャ (トロフィーモフに)大学生は、も少し利口なものよ! (口調を柔らげて、泣き声で)なんてあなた、風采《ふうさい》が落ちたの、ペーチャ、なんて老《ふ》けてしまったのよ! (もう泣かずに、ラネーフスカヤ夫人に)ただね、こうして仕事をしないでいるのが辛《つら》いのよ、ママ。わたし、一分一秒、何かせずにはいられないの。
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ヤーシャ登場。
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ヤーシャ (やっと笑いをこらえながら)エピホードフが、撞球棒《キュー》を折りました! ……(退場)
ワーリャ なんだってエピホードフがいるの? 誰があれに、玉突きをしろと言いました? あの人たちの気が知れないわ。……(退場)
ラネーフスカヤ あの子をからかわないでね、ペーチャ、ただでさえ、苦労の多い子なんですから。
トロフィーモフ お節介すぎますよ、あの人は、ひとの事にまでくちばしを入れたりして。この夏じゅう、僕もアーニャもじつに悩まされた、――ふたりの間にロマンスでも起りゃしないかと、そ
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