り去る)
ピーシチク (いそいで追いかけながら)この悪者……いやはや! なんという! (退場)
ラネーフスカヤ でも、レオニードはまだね。何を町でぐずぐずしてるんだろう、変だこと! 領地が売れたにしろ、競売がお流れになったにしろ、どっちみちケリがついているはずなのに、なんだっていつまでも知らせてくれないのかしら!
ワーリャ (なだめようと懸命に)伯父さんが落札なすったのよ、きっとですわ。
トロフィーモフ (冷笑的に)なるほどね。
ワーリャ おばあさんから伯父さんへ、委任状が来ましたのよ――おばあさんの名義で買い戻《もど》して、借金は肩代りにするようにって。アーニャのために計らってくだすったんですわ。だからわたし、それが神さまに通じて、伯父さんが落札なさるに違いないと思うの。
ラネーフスカヤ ヤロスラーヴリのおばあさまが、ご自分の名義で領地を買うようにって、送ってくだすったお金は一万五千ルーブリなのよ、――わたしたち信用がないんだわ、――そんなお金じゃ、利子の払いにも足りやしない。(両手で顔をおおう)今日こそ、わたしの運命のきまる日よ、運命の……
トロフィーモフ (ワーリャをからかう)マ
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