かえて)さ、ベッドへ行きましょう。……さ、行くのよ! ……(連れて行く)わたしのいい子がおねんねだ! さ、行きましょう……(ふたり行く)

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はるか庭の彼方《かなた》で、牧夫が芦笛《あしぶえ》を吹く。トロフィーモフが舞台を通りかかり、ワーリャとアーニャを見て、立ちどまる。
[#ここで字下げ終わり]

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ワーリャ しッ……このひと寝てるのよ。……寝てるのよ。さあ行きましょうね、可愛い子。
アーニャ (小声で、夢見ごこちで)とてもくたびれたわ、わたし……まだ馬車の鈴の音がしてるわ。……伯父さま……いい人ね、ママも、伯父さまも……
ワーリャ 行きましょう、アーニチカ、行きましょうね……(アーニャの部屋へはいる)
トロフィーモフ (感きわまって)おお、ぼくの太陽! ぼくの青春!
[#ここで字下げ終わり]
[#地から2字上げ]――幕――
[#改ページ]

     第二幕

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野外。とうに見すてられ、傾きかかった古い小さな礼拝堂がある。そのそばに井戸。もとは墓標であったとおぼしい大きな石が幾つか。古びたベンチ
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