犬を連れた奥さん
DAMA S SOBACHKOI
アントン・チェーホフ Anton Chekhov
神西清訳

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)薄色髪《ブロンド》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)面白|可笑《おか》しい

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「魚+潯のつくり」、第4水準2−93−82]

*:注釈記号
 (底本では、直後の文字の右横に、ルビのように付く)
(例)*ヤールタに来てから
−−

       一

 海岸通りに新しい顔が現われたという噂であった――犬を連れた奥さんが。ドミートリイ・ドミートリチ・グーロフは、*ヤールタに来てからもう二週間になり、この土地にも慣れたので、やはりそろそろ新しい顔に興味を持ちだした。ヴェルネ喫茶店に坐っていると、海岸通りを若い奥さんの通って行くのが見えた。小柄な薄色髪《ブロンド》の婦人で、ベレ帽をかぶっている。あとからスピッツ種の白い小犬が駈《か》けて行った。
 それからも彼
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