う。あとを、日本がどうするかだ。どういふ態度で民衆にのぞむかです。被征服者扱ひはよくない。忍ぶといふことにも限度があるからね。この間、保定が陥落した時、ほら、こゝで旗行列をやつたでせう。誰が考へ出すかね、あゝいふことは? 上の方ぢやない、それはたしかだ。行列に加はつたのは、小学校の生徒とあとは……。まあ、これや大した問題ぢやないがね。僕は、看板と標札を外して天津へ行つてたよ、その日は……。……………れないからね、かういふことは。日本のためにも考へるべきことですよ」
料理が運ばれた。豆腐と茸の清汁、鰻のシチユウなど珍味である。
「日本には、僕の尊敬する先生もをられるし、世話になつた人達は、みんな僕の心のなかに永久に生きてゐる。日本にゐる日本人は、懐かしい。だが、北京はどうなるのかね。僕が住めなくなるやうな北京に誰がするのかと思ふと、淋しい気がするね」
彼は急に聴き耳をたてる。そして、私たちの方へ、眼で用心しろといふ合図をする。何者かが秘かに私たちを狙つてゐるとでも云ひたい表情である。私は、正直なところ、ギヨツとした。「藍衣社」といふ言葉が咄嗟に頭に浮んだ。
「あの話声は日本人ぢやない
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