は可笑しいが、ちやんと駐車場でもこしらへて順番に車を呼び出すやうにすればなんでもないぢやないか。お巡りさんも、自分でそれぐらゐの智恵をしぼりさうなものである。ところが、そんなことは考へもせず、さうかと云つて、不埓な人民に棍棒の一撃を喰はすでもなく、たゞ、その時々に、効果の少い同じ骨折りを繰り返してゐるのは、悠長千万な話である。しかし、見やうによつて、これこそ馬鹿にならぬ風習だと、私はつくづく感じ入つた。なぜなら、人力車夫の取締は罰則を設けさへすれば容易にできるが、巡査が、彼等の無秩序を「殴つて」まで懲らしめようとしない、その平和主義は、一朝一夕の訓練で得られるものとは思はれないからである。
 もちろん、その反面には、万一、巡査が暴力を振つたとしたら、あとの祟りが怖ろしいといふやうな事情があるかも知れぬ。それはつまり警察力の微弱を語るものであらう。
 問題は、だから、そんなところにあるのではなく、かゝる無秩序そのものが、支那人の神経をさほど焦らだたせないのだと見る方が当つてゐるかも知れぬ。それゆゑ、どうかしたらよささうなものだと思ふのは、実は、こつちが見るに見かねてさう思ふのであつて、支
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