北支物情
岸田國士
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)戦《いくさ》の
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「こざとへん+徑のつくり、第3水準1−93−59]
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)ドカン/\と
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旅行前記
今度文芸春秋社が私に北支戦線を見学する機会を与へてくれたことを何よりもうれしく思ふ。
特派員といふ名義であるが、私のやうなものがジヤアナリストとしての使命を果し得るかどうか疑問である。この点は、社でも多くの期待はかけてゐないらしいから、甚だ肩の荷が軽いわけである。
私は、むろん、作家として眼近に戦争現地の面貌を凝視し、そこに想像を絶した天地の呼吸を感じるであらう。その印象をなるべく具体的に細かくノートするつもりである。
こゝで断つておきたいのは、私がどれほど「客観的」であらうとしても、それは恐らく無駄であらうといふことである。云ふまでもなく、私は「日本人として」此の戦争
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