ういふ人間もあり得ると思ふのですね。今の日本の道徳教育といふものは、さういふ男を創る可能性が非常に多いものです。これは大変なことですよ。
 これは、どうも、国民文学もそれになると困るだらうと思つてね。
 国民文学のあらゆる条件を具へてゐながら、これでは困るといふやうなものだね。
 文化と国民の結びつきの問題。それをやらなければ国民を再組織するといふことは、なんにもなりませんね。たゞ、文化部門といふものが、いはゆる国民大衆と離れた存在になつてしまつては、これはゼロになる。
 いはゆる組織といふやうなものはですね、御承知のやうに非常に整然と出来てゐて、ついそれが一番いゝものゝやうな錯覚を起しますからね。これは注意しなければいかんと思ふのですよ。さういふものは別にさう悪い影響をうけなければいゝやうなものだけれど、どうもこつちが組織的な頭がないし、こいつは便利だなんと思ふと危ない。それも今の話のやうに、成る程立派だが、何か欠けてゐるといふやうな、さういふ組織になつてはなんにもならないから……。
 ところが、ドイツ民族といふものは、組織で相当に動かし得る民族なんですね。そこに非常に特色がある。し
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