文学者の一人として見た現代日本語
岸田國士
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)主人《あるじ》
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
(例)それ/″\の
−−
私は国語問題について別段専門的な研究をしてゐる者でなく、従つてこの問題について適切な意見を述べる資格はないのであります。一作家として現代の日本語について何か考へて居ることでもあればといふことなら、この機会に少しばかり感想を申上げて見たいと思ひます。従つて、今日御話しすることは多分極く常識的な意味の言語風俗と云ふことになるのではないかと考へます。
先づ現代の日本語を現在の文学界が如何に取扱つてゐるか。そこに何か特殊な現象でもないかと考へて、二三気づいた点があるのでそれから申上げて見たいと思ひます。
現代の日本文学と申しましても、その範囲は広いのでありますけれども、比較的若いゼネレーシヨンの中で特に目につく現象としては、一般に西洋風の表現が非常に取入れられてゐることを注意しなければなりません。西洋風の表現といふのは直接外国語を学ぶ
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