だらうといふので科学性がない。即ちどう見ても文化性の水準の低いものと考へられます。
 かういふ風に、いろいろとその現象を見てまゐりまして、それらの文化的価値、或は文化性といふものを判断する場合に、この大体三つの要素が離れ離れにあるのでなく、それらのものを分析しますと、これら三つの要素に分れるものが内容になつてゐるやうに私は説明を致したいのです。文化といふ言葉自体の説明としては、非常に一面的でありますけれども、学問的にでなく、軽く常識的に考へて、今のいろいろの生活現象といふものを批判し、これをまた文化的に高めて行くといふ意味から、また個人個人が良い感覚を養つて行くといふ意味から申しますと、今のやうな考へ方で大体間違ひがないと私は思ひます。

     文化の領域とは

 文化の問題といふことになりますと、文化といふものは一体どういふ領域であるかといふ、領域の問題がまづ出て来ます。
 これも私の考へでは、文化といふものは、大体、人間がその理想を追求するために作り出す生活表現であるといふ定義を、正しい定義だと思つてをります。さういふ意味から、人間といふ言葉を、抽象的に観念的に考へないで、やは
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