文化とはどういふことか
岸田國士
−−
【テキスト中に現れる記号について】
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#ここから20字下げ]
−−
[#ここから20字下げ]
国民が発揮するいろいろな力といふものは悉くその国民の有つ文化が土台になつてゐる
[#ここで字下げ終わり]
誤つて使はれる「文化」
文化といふ言葉は今日では誰でも使つてをりますし、また到る処にこの言葉が拡つてをります。それだけにまた文化といふ言葉が、いろいろな意味で使はれてをり、また場合によつては非常に誤つた意味にも使はれてゐるといふやうに私は考へてゐます。今日、大政翼賛会の翼賛運動の発足といふことゝ必ずしも同時にではありませんけれども、一般に文化問題については関心が昂まつてをります。地方でも、いろいろな方面で文化活動が旺盛になつてまゐりました。さういふ際に文化といふ言葉の意味を少しはつきりさせて置かなければいけないと思ひます。ご承知のやうに文化住宅といふ言葉があります。それはまだいゝとして、文化焜炉であるとか、もつと怪しげなものに、文化といふ名が附けられて来てからどのくらゐ
次へ
全8ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
岸田 国士 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング