栄であり、そして、最も清く、正しく生涯を過すことのよろこびでなければならぬ。
東亜の盟主たるわが日本の国風《くにぶり》は、現在われわれ同胞がいかなる心構へを以て「生活」し、いかなる方法を以てその日その日を送つてゐるかによつて、世界の批判に応へなければならないのである。即ち、国の値打は、その国の民衆の「生活振り」によつて定まると云つてもよく、一国の文化の基礎がまたそこにおかれてゐることは勿論である。
国民の生活が高い道徳と必要な知識と、健かな趣味とによつて貫かれてゐたならば、もうそれで、理窟なしに、一流の文化国であり、しかも、同時にそれが国家目的に副ふやうに組織され、訓練されてゐさへすれば、所謂、高度国防の機能を完全に果し得るのだと思ふ。
即ち、かゝる「生活」は、勤労を最も能率化し、風俗を醇化し、精神肉体ともに溌剌たる国民を作りあげるのである。
「生活」にはいろいろの面があつて、衣食住だけを取りあげてみても、問題は極めて多端である。私は、これから問題の解決と共に、更に、「人と人との関係」を生活の重要部分として考へてみなければならぬと思ふ。
われわれ日本人は数十年この方、家庭にあつ
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