(演劇、映画、音楽、図書等)の活動
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2 地方文化再建に当つては、文化の地方的特色を最大に発揮せしめるやう留意すること(たとへば地方放送局の放送内容の改善等)。
3 地方に於る文化新体制をして東亜文化新建設の基盤たらしめることを常に忘れざること。
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以上は一般原則を掲げたに過ぎないけれども、これを実際に運用して行くためには、更に具体的な企画と実践網の確立が必要である。しかも今日までの経過に徹して見るも、次の点に一層の注意を要するやうに思はれる。
第一に、文化運動それ自体の性格が、まだ古い観念の上に立つてゐること、いひかへれば、趣味的に過ぎ、お祭り騒ぎであり、一般国民の生活を対象とするよりも、むしろ好事家を対象とするが如き感を与へてゐる。
第二に、地方それぞれの行政機構との間に密接な関連がなく、特に積極的にこれに働きかけて、政治面を通じて文化問題の解決を図るといふ方向を十分にとり得ないこと。
第三に、文化部門の解釈が狭きに過ぎて、各専門の自慰的な活動に終る惧れがあり、広い意味の文化領域が、その運動の中に包括されて、それぞれの力を一点に集めるといふ協力態勢が十分にとれてゐないこと。もつと詳しくいへば、教育家と宗教家と、医師と技術家とが相互にその能力を提供しつゝ、その地方に於る文化的欲求を充して行くといふやうな心構へと方法とが、まだ研究されてゐないこと。甚だしきは図書館、博物館等が組織から除外されてゐるといふが如き例を度々見かける。
[#「地方文化機構図」のキャプション付きの図(fig44674_01.png)入る]
以上のやうな点について、今後あらゆる文化運動が正しい方向に向けられて行かねばならぬけれども、特にその際、各分野の人たちが、単に自分たちのためにこの運動を起すといふやうなつもりであつてはならぬことは勿論、更に自分たちの専門分野のためをはかることに急であつて、他の分野のことには無関心であり、あるひは他の分野を軽視して憚らないといふやうな事態が起つたならば、地方文化建設の目的から遥かに遠い結果を招く惧れがあるのである。
その意味でわれわれは組織の上から先づこの弊を除き、更に人的要素に於ても十分この点を警戒しなければならぬと考へる。地方文化機構の整備強化を目標とする団体組織については、現在
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