前で、踏みにじらうと思ふの……。それでアイコぢやないの。でも、あたしは、あんたのやうに、自分を信じることができないから、同情してくれればしてくれるだけ、うれしいと思ふわ。もちろん、他人からぢやなくつてよ。あんたからよ。妹のあんたからよ。あたしは今、眼の前が真つ暗なの。あんたにだつて、ああしろかうしろつていふことはできないかも知れないけど、とにかく、力をつけてよ。倒れさうになつたら、手をかしてよ。後生だから、希望があるうちは、その希望の方へあたしを向け直してよ……。
愛子  …………。
悦子  どう、約束してくれる? 云つても無駄ぢやないつてことを感じさせてくれなきや、あたし、勇気がでないわ。
愛子  とにかく話してみたら……? あたしで、出来るだけのことはするわ。ただ、その前に、これだけのことは云つとくけど、姉さんが重大だと思ふことを、あたしはそれほどに思はないかも知れないわよ。そん時、同情のしかたが足りないなんて云つちやいやよ。
一寿  (珈琲を珈琲つぎに入れながら)二人ともお代りはいらないか?
愛子  いらないわ。ぢや、云ひなさいよ。
悦子  頼りないなあ……。でも、思ひ切つて云ふ
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