ないから、一緒におなりになつたらどう……。さうしていただかないと、あたし、却つて困るわ。第一、御不自由でせう。それに、あたしがわる者みたいで……。ねえ後生だからむづかしいこと云はないで、側へ呼んでおあげなさいよ。
一寿  なあに、お前が思つてるほどのことはない。わしも、かういふ生活は、慣れつこになつとるし、気楽でいいよ。なにも今更、朝は味噌汁でなけりやならんといふわけもなしさ。お前たちさへ、かうして、時々顔を見せてくれさへしたら、このままかうしてゐるのが、誰にも迷惑をかけんで一番いい。おや、お前、熱でもあるんぢやないか。顫へてるぢやないか。(娘の額に手をあててみる)まだ寒いか。
悦子  (肩で呼吸をしながら)愛ちやん、早く来ないかなあ……。人が待つてるのを知らないんだわ……。
一寿  (腰を浮かし)もう家を出たかどうか、訊いてみよう。
悦子  電話? いいぢやないの。来る時は来るわよ。あたし今日は愛ちやんと、一生の仲直りをすんの。
一寿  立会人はいらんのか? わしは、もう役に立たん。お前たちの一生と云へば、わしが死んでからの方が長いわけだ。
悦子  立会人なんかいるもんですか? ひと
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