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悦子  お変りない?
一寿  変らざること、ミイラの如し。お前も風邪は引かんかい?
悦子  風邪なんか引いてられないわ。忙しくつて忙しくつて……。
一寿  結構だ。
悦子  愛ちやん、今日来る?(チヨツキと上着を着せかけてやる)
一寿  今電話をかけて寄越した。出かける時間だけど、ゴルフ場から車が帰つて来ないんで、ことによると、少し遅れるかも知れんつてさ。十二時には間に合ふだらう。
悦子  今日は是非、会つてきたいの。この前はあんな風にして別れたもんで、あと気持ちが悪くて……。でも、ああなつちまつたら、なほらないもんね。もうちやんと性格になつてるわ。どういふものか知ら……人の言ひなりになるつてことがいやなのね。
一寿  亭主にはああでもなからう。
悦子  それが、あの女《ひと》うまいのよ。西洋人が日本の女のどういふところに目をつけてるか、ちやんと呑み込んでるわよ。西洋人のお神さんになつて、西洋の女の真似をしちや損だつてことを、百も承知なんだから感心だわ。甘え方だつて、ほら、何時かみてなかつた? あたしたちの前なんかと、どう? がらつと変つちまふでせう。まるで芸者よ。
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