、一層根本的には、破毀と抵抗の巨大な夢を織り込んだ秘策善謀であつて、その力の源泉は、国民知能の結集、及びその最高水準の遺憾なき活用である。個人としてはもとより、国としても、道義はその推進たり、裏づけたるに止まること、そして月並な言葉で道義を説くことはこの際最も容易な業である所以をはつきりさせたい。
 わが民族の鋭く豊かな知恵を、為政者の刻々の表情のなかに、満々たる自信をもつて読みとることだけを、今国民は、ひたすら希つてゐるのである。



底本:「岸田國士全集26」岩波書店
   1991(平成3)年10月8日発行
底本の親本:「東京新聞」
   1944(昭和19)年7月22日
初出:「東京新聞」
   1944(昭和19)年7月22日
入力:tatsuki
校正:門田裕志
2010年5月21日作成
青空文庫作成ファイル:
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