この方が、なにか……。
青木  始めまして……。僕、青木です。
州太  あゝさうですか。わたし、二葉の父です。
とね  それぢや、(二葉に)あんたのお部屋がいゝでせう。ちよつと掃き出して来ますわ……。

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とね奥に引つ込む
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州太  よくおいで下すつた。あちらでは、また、二葉がいろいろ……。
青木  いゝえ……。前以て電報でもと思つたんですが、その暇に来てしまへるやうな気がして……。割合、便利なとこですね。
州太  いや、今年はまだ……。これでも来年は余程活気を呈するでせう。二葉とも話したことですが……。
二葉  それぢや、お父さん、あちらで……。
州太  うん、わしも、後から行く。
二葉  (青木に)どうぞ……。

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彼女は、首をうなだれたまゝ、先に立つて、青木を奥へ案内する。
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新井  なんだ、さうだつたのか。
則子  あたし、一と目みて、さうだらうと思つたわ。
州太  (満足げに)やあ、わしも気
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