生活のうるほひ
岸田國士

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)外《ほか》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)形|紡錘《つむ》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#ここから2字下げ]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)けば/\しい
−−

 趣味といふ言葉は非常に広く使はれてゐますが、一般には好きなことゝいふ程度に解釈され、読書、映画、スポーツ、釣、将棋などと雑多なものが一様に趣味といふ範囲に入れられてしまふわけでありますが、ほんたうをいふと、高い精神的な訓練を経て、初めてそれを趣味として身につけるやうな種類のものもあり、またほんのやり方を覚えさへすれば、一通り遊びとしての暇つぶしの出来るやうなものなど、色々あります。
 生活のうるほひとしてのこれ等の趣味は、時と処とに応じ、その選択は全く自由でありますけれども、趣味といふよりも慰安娯楽といつた方が適当なものもあり、更にまたそれに興味をもつ程度によつては、むしろ趣味といふよりも道楽といつた方がいゝやうな、幾分弊害を伴ふ場合も
次へ
全10ページ中1ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
岸田 国士 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング