見ないやうにしてゐた。さうかといつて窓の外を見てゐると、表へ飛びだしたくなるに極つてゐる。眼のやり場に困つて、歌ひ手の口を見つめてゐた。僕は、はツとして、眼を伏せた。その口の一端から、あわ立つた液体が楽譜の上へ半透明な糸を引いてゐた。
底本:「岸田國士全集21」岩波書店
1990(平成2)年7月9日発行
底本の親本:「東京朝日新聞」
1928(昭和3)年1月31日
初出:「東京朝日新聞」
1928(昭和3)年1月31日
入力:tatsuki
校正:門田裕志
2007年5月1日作成
青空文庫作成ファイル:
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