ん」のルピツクや「秋水嶺」の山口一作など最も油が乗つたものであつた。
友田君は仕事に対して非常に熱心で殊に俳優としては天成の鋭敏な感覚をもつてゐたと僕は思ふがどちらかといへば純粋な芸術家肌で劇団を通さうとするやうな事業家的な面では必ずしも適任と云へなかつた。その意味から今度友田君を一個の技術家として迎へた文学座の仕事で十分才能を発揮して貰ひたいと考へてゐた矢先で我々としては相当大きな犠牲だと考へるが国家のため止むを得ない。
要するに友田君は最近日本の新劇俳優として最も完成した俳優だつたと思ふ。将来日本の新劇が最も必要な指導者の一人を失つたことは我々一同非常に心淋しく感じる次第です。
底本:「岸田國士全集23」岩波書店
1990(平成2)年12月7日発行
底本の親本:「読売新聞(夕刊)」
1937(昭和12)年10月9日
初出:「読売新聞(夕刊)」
1937(昭和12)年10月9日
入力:tatsuki
校正:門田裕志
2009年11月12日作成
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