ます。さういふ意味で、外国のトーキーの中から、現在我々が演劇として求めるものを発見するといふことも専門家にとつては大切であります。また専門家でない一般の観客にとつてはそれが意識的ではありませんけれども、面白い芝居の無い、或は完全に自分たちの生活を反映した芝居がまだ生れない時代にはゆるされるのです。又、さういふことをはつきり意識することによつて、これからの日本の新しい芝居の発展に、皆さんが力を貸して下さるのぢやないかと思ひます。先程こゝで、ラヂオドラマの形式で朗読した森本君の「バラ」ですが、これなども一つの、いまわれわれが目指してゐる演劇といふものの雛型と言つてもよいと思ひます。種々設備の点なども不満で、十分効果を挙げ得なかつたやうでありますが、さういふ点は敏感な皆さんが、寧ろ寛大に、これが若し理想的な設備の下にやられたならよかつたらうと、我慢をして見て下さつたことと思ひます。
私は、この明治大学の演劇研究会のロボツト会長であります。学生諸君の熱心な催しに対して、皆さんがこのやうに大挙して参加して下さつたことをありがたく思ひ、恐らく、一番楽しみにしてお出になるであらう映画がこれからあり
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