う言葉がどうやら緊迫した国際情勢を反映する、かのバーミュダ会談を連想させるからでもあろうか?
郷土史家Nさんの説によれば「小田原評定」とは、とかく香ばしくない意味にとられがちだが、それもいわれのないことではないが、むしろ、これは、小田原の北条氏が鎌倉の北条氏よりも一層民主的な政治を行うために、下級武士をも含む代議制の評定衆なるものを設けたことに、もつと重要な意味があるのだそうだ。
なるほど、こうなると、まことに進歩的な政治がこの小田原では早くから行われていたことになり、小田原こそは、ワシントンやモスクワとともに、世界の民主主義政治史に残る輝やかしい都市名となるであろう。
「名物にうまい物なし」というけれども、私はそんなことはないと思う。
なるほど、土地のひとが自慢するほどにはうまくない、といえるものがたまにはあるが、概して、やはり名物はうまい。
一番いけないのは、近頃、観光事業とやらの流行につれて、無理にでつちあげた「名物」である。
私は断じて「美食家」とはいえないし、まちがつても「食通」ではないから、「味覚」や「料理」についてえらそうな口を利くつもりはない。しかし、人間の
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