つて差支ない。
 一、仏蘭西劇の研究者たる私一個の立場から云つても、今日まで最も日本文壇に顧みられなかつた仏国近代劇の姿が、殆ど何人の予想をも許さないであらう豊富な色彩を以て、日本の読者の前に提示されるに至つた事は、何よりも愉快であり、得意である。
 イプセン、ストリンドベリイ、チエエホフ、ハウプトマン、ワイルドの名を知るものは、必ずミユツセ、ポルト・リシユの名を識らなければならない。これら、仏蘭西劇の伝統のうちにあつて、特に輝やかしい頂点を占めてゐる作品の紹介だけでも、日本の文芸愛好家に取つて得がたき福音であらうと信ずる。



底本:「岸田國士全集20」岩波書店
   1990(平成2)年3月8日発行
初出:「近代劇全集内容見本」第一書房
   1927(昭和2)年4月1日発行
入力:tatsuki
校正:門田裕志、小林繁雄
2005年10月6日作成
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