うの親善に進み得ないのではないかと思はれます。
国と国とは、利害相反し、主張相容れなければ、結局に於て、戈を交へるでありませう。その国と国とが、利害を同じくし、主張を等しくしても、人間としての味ひに於て、相軽んじ、相疎んずるならば、永久に、真の味方となることはできません。
われわれは先づ、国内に於て、同胞の一人と雖も、今日限り、赤の他人と見なしたり、また、さう呼ぶことをやめませう。
われわれは次に一タス一ハ三といふ日本的原理を信じませう。といふのは、云ひかへれば、日本人は、元来、外の国の人間のやうに、一人なら一人の力、二人なら二人の力といふ風に、人の数と力の量とが比例せず、一人は一人の力ですが、二人になると三人分の力ができるといふ特質をもつてゐることをお互に信じようといふことです。ほんたうに力を協せればそれができるのです。その実例はいくらでもあります。
私は、現今日本文化の発揚は、高度国防国家の見地よりみて、以上の二つの決意とその実践以外にないと信じます。(昭和十六年一月)
底本:「岸田國士全集25」岩波書店
1991(平成3)年8月8日発行
底本の親本:「生活と文化」青山出版社
1941(昭和16)年12月20日
初出:「文学界 第八巻第三号」
1941(昭和16)年3月1日
入力:tatsuki
校正:門田裕志
2010年1月20日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
前へ 終わり
全6ページ中6ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
岸田 国士 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング