り]
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微々 (慌てゝ)御免なさい、御免なさい。
更子 (急に顔をあげ、にツと笑ひかけるが、また、顔を両手でかくし)あたしも、御免なさい。
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さう云つたかと思ふと、再び、突つ俯して、声をあげて泣きはじめる。
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○広い庭園を前にしたレストランのテラス。
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夜だ。
天城更子、三堂微々、横川洗身の三人が卓子を挟んで、食後のカフエーを飲んでゐる。
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横川 これで、仲直りができたわけだな。この、世にも稀れな二人の喧嘩は、結局、二人の損にはならなかつたと思ふが、どつちも引つ込みがつかなくなると困るからな。まあ、好い加減のところで、媾和条約を結んだ方がよからう。何か飲みますか三堂君……?
三堂 更子さんは……?
横川 この人は、ミリヨン・ダラアだ。さうだらう。
更子 なんでも結構……。
横川 いやに神妙だね。
更子 飲まないつて云つてやしないわよ。
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横川が、ボーイに、ウヰスキイを
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