た男が、事もあらうに、同じ月の「女性」所載「葉桜」の作者であることは誠にもつて笑止千万である。本来ならば、泣いて馬謖を斬るべきところであるが、それではまた、あまりに芝居が過ぎるとの非難もあらう。よつて、畏友T君をしていはしめる――あの母親は、男性的な女性だといふよりも、女性的な男性だね。それから、幕切れは、もつと、ストイツクな幕切れであつて欲しいね。娘が泣き崩れるのは困るね。――こと/″\く賛成である。
かうして見ると、月々如何に多くの小戯曲が、生れては消え、生れては消えしてゐることだらう。自分の書いた戯曲が永久に舞台に上らないことを知りつゝ、平然と戯曲を書き続けてゐる一群の若き作家があることをも、世人は知つてゐなければならない。
底本:「岸田國士全集20」岩波書店
1990(平成2)年3月8日発行
初出:「東京朝日新聞」
1926(大正15)年4月14、15、16、17、20、21日
入力:tatsuki
校正:門田裕志、小林繁雄
2005年10月6日作成
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