声援を惜まぬのであつて、この指導精神が、万一、僕自身の主張と隔つてゐても、それが新劇の、分野を堂々と開拓して行く限り、その成長に力を藉すのは当然である。
 しかし、それは、「演劇のために演劇を愛する」もののみが取り得る態度だ。
 そこで、僕は、一般の新劇関係者に提議したいのだが、村山氏等の計画を最も有意義ならしめるために、単一劇団の結成といふ課題を寧ろ先決問題とせず、広く新劇に関係する団体及び個人を網羅して、それらの連絡親睦を主とする機関即ち所謂「日本新演劇協会」の健全な誕生を企図しては如何であらうか。
 そして、その協会の附帯事業として、或は、某々劇団の合併といふやうな提案、又は、仲介の労を取るもよからうと思ふ。(一九三四・一〇)



底本:「岸田國士全集22」岩波書店
   1990(平成2)年10月8日発行
底本の親本:「現代演劇論」白水社
   1936(昭和11)年11月20日発行
初出:「劇作 第三巻第十号」
   1934(昭和9)年10月1日発行
入力:tatsuki
校正:門田裕志
2009年9月5日作成
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