といふ国が如何に映つて居るかといふことを私は絶えず教へられて居ります。最近にも或ドイツ人と話をして、日本の現代文化、特に日本人の現代生活といふ問題に触れたのでありますが、そのドイツ人は有名な教育学者であつて相当教養のある人ですが、日本の現代生活に対して非常に辛辣な観察を下して居ります。さうしてこの辛辣な観察の中に我々は矢張り多くの反省しなければならぬ点を発見すると同時に、又さういふ辛辣な観察に対して十分私共日本人としてこれに一つの別な方向を与へるだけの自信と用意がなければならないと思ふのであります。
必ずしも日本人であるから日本人の弁護をしてそれで義務を果すといふだけのことではないのでありまして、辛辣な観察が動もすると矢張り一方的になつて、そこに見逃して居る点があるといふことも争へない。外国の場合もさうでありますし、特に国内に於て日本人が日本の国を見るといふことは一つの惰性になつて居る関係から日本を正しく視るといふことがなか/\難しいので、日本人が日本の事情なり生活なりを見て一つの発見をするといふやうなことはなか/\難しいばかりでなく、その日本人の生活に対して正しい判断を下すといふこ
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