つきを書きつらねてみる。

 先づ、現在、国庫から各省に振り当てられる予算のうち、「映画に関する事業費」概算合計百万円を、ある統一機関の手で、より有効に、より経済的に使用し得るやう、例へば、内閣直属の映画局といふやうなものを新設する。或は、これを全然お役所風のものにせず例へば理化学研究所式の、半官半民的研究生産機関として独立の組織を与へる。
 この機関は、日本では、少くとも、左の条件を具備しなければならぬ。
 一、映画の政治的・文化的役割に関する研究。
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国策の宣伝教化的内容の撰択、日本映画の国際的価値及び国際性の拡大方針等。
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 二、技術向上に関する研究。
 三、映画企業及び技術の専門家養成。
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人材の海外派遣、養成機関の設立準備。欧米技術家の招聘。
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 四、俳優の質的改善と基礎的教育。
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官立大学乃至専門学校に準ずる教育制度の確立。
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 五、政府各省の要求に応ずる映画企画製作。殊に模範的文化映画の生産。
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当分の内、民間の適
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