音の世界
岸田國士

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)何時《いつ》まで

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#ここから5字下げ]
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男甲
男乙
其の他
[#ここで字下げ終わり]
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舞台は、連絡なき三つの場所を同時に示し得るやう、その空間を利用して、それぞれ独立した装置を施す。
三つの情景は、大体次の如き関係に配置されてゐればよい。

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Aは、ホテルのアパルトマンに属する贅沢なサロン。

Bは、別のホテルの一人用寝台附小室。

Cは、ある商店の電話室。
[#ここで字下げ終わり]
[#A、B、Cの図省略]
[#改ページ]

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時刻は午後九時。

Aの部屋では、男甲がソフアに倚つて夕刊を読んでゐる。その妻らしき女が、隣室から出て来る。
[#ここで字下げ終わり]

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女   ちよつと、大きい方のトランクを開けて頂戴な。
男甲  もう寝るんだから、明日にしたらどうだ。
女   今
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