演劇当面の問題
岸田國士
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)通俗現代劇《ブウルバアル》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)|読む戯曲《レエゼ・ドラマ》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)必ずしもさうでない[#「必ずしもさうでない」に傍点]
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戯曲不振の理由
「戯曲家は生れながら戯曲家である」といふやうなことも云はれるが、しかしまた、戯曲家が戯曲家たる動機は、小説家が小説家たり、詩人が詩人たる動機と決して異つたものであるとは云へないのであつて、少くとも今日までの歴史を通じてみれば、多くの例が、その点について興味のある事実を語つてゐるのである。
つまり、一人の優れた戯曲家は、必ず、その周囲に、彼の戯曲創作慾を燃え立たせる「演劇的雰囲気」を有つてゐたのである。時として、それは名戯曲の名演出を屡々観ることであり、時として、それは、傑れた戯曲家を友とすることであり、時として、それは、名優に接近する機会を得ることであり、時としてそれは、某女優の容姿又は才気に心惹かれることですらある。が、要するに、今日の
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