てたくないんですの。真面目な女でも、あたくしは、時として自分の抵抗力を疑ふ真面目な女ですわ……」
作家ルナアルの「女性」は、彼の「言葉」の如く陰翳に富み、男心の隅々までを知り尽してゐる。
妻マリネツトの面影が、そのまゝこのマルトの中に映つてゐるかどうかは疑問である。恐らく、本質的に別個なタイプのやうであるが、彼が女性、殊に、「自分の女」に求め、望むものは、彼のエゴイズムと、脆さに対する趣味との惨憺たる摩擦から生ずるものであつて、彼の愛妻心理も亦尋常一様なものではないにきまつてゐる。(「婦人公論」昭和十年十二月)
底本:「岸田國士全集22」岩波書店
1990(平成2)年10月8日発行
底本の親本:「現代風俗」弘文堂書房
1940(昭和15)年7月25日発行
初出:「婦人公論 第二十巻第十二号」
1935(昭和10)年12月1日発行
入力:tatsuki
校正:門田裕志
2009年9月5日作成
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