サン・ジョルジュ・ド・ブウエリエについて
岸田國士

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)良識《ボン・サンス》

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   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「宀かんむり/婁」、72−4]す
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「わたくしは、ただ、自分の欲求に従ひ、只管霊感に耳を傾けて、劇作の筆を取り始めました。流行の誤れる趣味、因襲の命ずる手段術策はこれを顧みる気にさへならなかつたのです。わたくしは、ただ、人生研究に憂身を※[#「宀かんむり/婁」、72−4]す一介の徒弟でありました。それは光と影とを併せ有ち、その中に神秘の姿を織り込んでゐるいとも弱き人生であります。わたくしは、まだ名も知らない、誰も十分に究めたことのない、まことに危ふい道を進んだのです。」
 これは、ブウエリエが、批評家ブリツソンに宛てた献呈語の一節である。また、
「此のささやかな戯曲――そこでは、愛と死との運命が奇怪な戯れを演じてゐるこの戯曲は、ジヤック・ルウシェ君の手によつて、美術座開場初興行の舞台にかけられた。……
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