クロニック・モノロゲ
岸田國士
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)倚《よ》りかゝつて
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)一|切《さい》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「言+墟のつくり」、第4水準2−88−74]
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海岸の小さな貸別荘。
舞台は八畳と六畳の二間続きで、八畳には籐椅子、テーブルの他に本箱、寝台、六畳には、同じく寝台を中央に、箪笥、屏風、鏡台、衣桁、長椅子。
奥は一間の張出窓、硝子戸が締めてある。
長椅子に、女が倚《よ》りかゝつてゐる。女は毛糸の襟巻をし、腰から下を毛布で包み、紙人形をこしらへてゐる。
時々、歌を口吟《くちずさ》むのだが、すぐに息切れがするので、そのたびに、大きく溜息をつく。
ほゞ形の出来上つた人形を、明りに照してみながら、
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女 どうして、今日《けふ》はかう遅いんだらう。また
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