せりふ
岸田國士

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【テキスト中に現れる記号について】

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)せりふ[#「せりふ」に傍点]
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 ――それが、画かきらしくないんですの。

 このせりふ[#「せりふ」に傍点]の言ひ方が二た通りある。
 画かきではあるが、画かきらしく見えない、といふ意味を表はす場合と、画かきだといふけれど、実際は画かきではなからう、といふ意味を表はす場合と。
 しかし、戯曲を読むものは、そこまで気をつけて読んではくれないらしい。
 気をつけるかつけないかの問題ではない。戯曲を耳で感じるかどうかの問題である。
 意味ぐらゐ取り違へてもかまはない。――わからないことを白状しさへすれば。



底本:「岸田國士全集20」岩波書店
   1990(平成2)年3月8日発行
初出:「手帖 第一巻第四号」
   1927(昭和2)年6月1日発行
入力:tatsuki
校正:門田裕志、小林繁雄
2005年10月6日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
終わり
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