大隈 ……(うなだれる)
葉絵子 さう云つてあげようと思ふんですの。お友達はきつと、あたくしの忠告を聴いてくれますわ。どうでせう、こんなことを云つても、をかしくはないでせうか。あなた、どうお思ひになつて……。
大隈 結構でせう。あなたのお友達よりも、第一に、その男がよろこぶでせう。では、今日は、これで失礼します。僕は、当分、旅行に出ますから、しばらくお目にかゝれないかも知れません。お父さんやお母さんによろしく……。
[#ここから5字下げ]
大隈は考へ込みながら、下へ降りて行きます。
葉絵子は、何時までも空を眺めて、忘れかけてゐる星の名を呼んでみます。
[#ここで字下げ終わり]
底本:「岸田國士全集5」岩波書店
1991(平成3)年1月9日発行
底本の親本:「令女界 第十巻第三号」
1931(昭和6)年3月1日発行
初出:「令女界 第十巻第三号」
1931(昭和6)年3月1日発行
入力:kompass
校正:門田裕志
2008年3月19日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr
前へ
次へ
全13ページ中12ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
岸田 国士 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング