語らせる場合もある。その場合は、俳優の努力が二つの方向を取るのである。即ち、前に述べた白としての「味」を失はないと共に、人物それ自身によつて語られる言葉の美を、極度に発揮することが肝要である。
第三の問題は、この二つの場合を含めて、最も統一ある効果の配列に役立たしめねばならぬといふ最後の問題であつて、結局、部分的に発揮される「言葉」の美的効果を積み重ねて、舞台の印象を統一ある感銘にまで高めていくことが、つまり演技の秘訣である。
「語られる言葉」の美は、こゝでやうやく、演劇の一要素として、その占むべき地位を与へられたことになる。
底本:「岸田國士全集21」岩波書店
1990(平成2)年7月9日発行
底本の親本:「現代風俗」弘文堂書房
1940(昭和15)年7月25日発行
初出:「悲劇喜劇 第二号」
1928(昭和3)年11月1日発行
入力:tatsuki
校正:門田裕志
2007年11月20日作成
青空文庫作成ファイル:
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