、畑中伊沢両君によつて、如何に演じ活かされるかは、最も私の興味をそゝるのである。
 他の二役、西原とより江も亦、「ある俳優」にあてはめて書いたつもりだつたが、これも――これこそ、飛んでもない見当外れだつた。私は、広く適役を物色した。そして、西原には、菊五郎氏門下の駿足鯉三郎氏を煩はすことゝし、より江には帝劇の村田美禰子嬢をお願ひすることにした。
 序に舞台装置のことであるが、これは特に私から、小松栄君に依嘱した。同君は、嘗て私の「紙風船」の装置に於て極めて清新な創意を示した新進の舞台装飾家である。今度の「温室の前」でも、あの舞台の色調を巧に捕へられることだらうと期待してゐる。



底本:「岸田國士全集28」岩波書店
   1992(平成4)年6月17日発行
底本の親本:「帝劇 第五十五号」
   1927(昭和2)年5月15日発行
初出:「帝劇 第五十五号」
   1927(昭和2)年5月15日発行
入力:門田裕志
校正:Juki
2009年11月12日作成
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