別に何も云ふべきことがない。――では困りますが、実際ない。
たゞ新劇協会が去る廿三日から三日間、帝国ホテルで現代劇を三つ上演しました。そのうち、正宗白鳥氏作『人生の幸福』が、万人の予期に反して、驚くべき舞台効果を発揮したといふ噂を聞きました。僕は、不幸にしてそれを観てゐませんが、事実、此の脚本の中に舞台的生命が発見されたとしたならば、それは小説家正宗白鳥氏の新しき芸術的世界がひらけたことになり、舞台監督畑中蓼坡氏の決定的功績を称揚しなければなりません。
そればかりではない。日本の新劇は、「舞台」といふものを、もう一度見直さなければならない機運に到達したのです。
底本:「岸田國士全集19」岩波書店
1989(平成元)年12月8日発行
底本の親本:「時事新報」
1924(大正13)年11月13日
初出:「時事新報」
1924(大正13)年11月13日
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:tatsuki
校正:Juki
2008年11月30日作成
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