發表された畫期的論文であつて、輻射エネルギーの量子は、振動數に恒數をかけたもので表はせると論じた。爾來この恒數は、あらゆる類似の現象を考究するに用ひられ、驚くべき好結果を齎した。しかしてこの恒數をプランク恒數と名づけることは、吾人の敢て憚らぬことである。
その物理的意味を探すに、學者は大に腐心した。アインシュタィンは相對原理に含まれてゐるだらうと推察し、多年これを討究したけれども、どうしても追跡し得ないとの話であつた。誰も失敗の歴史は公表したくないから、彼が辿つた道筋は不明であるけれども、この恒數の的確なる意味を探し出せば、大なる發見である。
輻射エネルギーが量子的である議論が發表された曉には議論が沸騰した。多くの事物は連續的であるのに、輻射がそんなものであらうとは、突飛な假説であると、古風な學者は非難した。しかし他方面から考へて見ると、全然謂れない空想ではないことが判る。電子の存在は、その時すでに判明してゐた。アルファ粒子の荷電は確かに電子の二倍の陽電荷を有つてゐる。またその質量は水素原子の四倍である。しかして、すべての化學元素の原子の質量は、水素原子の倍數であることは、その後に
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