いの既婚労働者は僅小な土地を耕作しており、そして気候不順のために凶作となったりまたは家畜が死ぬ場合には、彼らはその窮乏の原因を理解し、これを天の配剤として耐え忍ぶのである。何人も、自然の一般的法則から生ずると自ら信ずる災厄は、適宜の忍耐をもってこれに服従するであろう。しかし政府や社会の上流階級が、虚栄や偽善が、下層階級の事柄に絶えず干渉して、下層階級の者に、彼らが享受する一切の福祉はその支配者や富める慈善家によって与えられるのだと信じさせようと努める時には、彼らが蒙る一切の災厄をもってこれと同じところに由来するものと考えるに至るのは、極めて当然であり、従ってかかる事情の下においては、忍耐はもとより期待すべくもない。もし不忍耐が行動に現われるならば、更により[#「より」に傍点]大なる災厄を防止するために、この不忍耐を力ずくで抑圧しても構わぬ場合もあろうが、不忍耐それ自身はこの場合明かに是認すべきものと思われる。従って不忍耐を明かに助勢する傾向のある行動をとった者は、その結果に対し大いに責任を負うべきである。
 スウェーデン人は、一七九九年の大凶作に異常な忍従をもって処したが、しかもその後
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